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MITOU MAGAZINE

2016年8月11日(第8号)

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■1 理事メンバーを更新しました

 6月28日に行われた定時社員総会にて、理事メンバーの更新が決議されました。竹内代表理事からこちらの件に関して解説頂きます:

 2015年9月に、未踏社団の業務執行体制を強化するための理事の補充を行いました。 まだ盤石な体制と言えないまでも、皆様のお蔭で、未踏社団の基盤づくりを進めることができてまいりました。
 新年度に入り、未踏社団を熱烈に支援していただける外部理事(業務執行理事でない理事の通称で、法律上は理事です)を2名補充しました。 京都情報大学院大学教授田中久也氏と筑波大学図書館情報メディア系助教 落合陽一氏です。
 この人事について、簡単に趣意を説明させていただきます。 もとより、未踏社団は未踏を巣立った優れて創造的なIT人材のコミュニティ、さらにはイノベーション・エコシステムを形成していくことが大きな目的です。 外部理事には、これを大所高所から支えていただけることを期待しております。今回、新たに理事になっていただいたお二方は、未踏応援団としてとても強力で素晴らしい方です。 このような方々を補充していくことは、未踏社団の発展につながると考えます。

田中久也 田中久也氏は、2015年度までIPAの理事として未踏事業を担当されてこられました。 熱い気持をもって、未踏事業の推進に携わると同時に、現場にもよく足を運ばれ、若いクリエータたちと直にコンタクトしてこられました。 自らを「熱烈な未踏応援団」と称しておられ、大学に行かれてもいろいろな機会に積極的に未踏事業および未踏社団を応援する活動を進めていきたいというお言葉をいただいています。

落合陽一 落合陽一氏は2009年度上期の未踏スーパークリエータです。 筑波大学ではデジタルネイチャー研究室を主宰し、若者たちに素晴らしいクリエータ教育を行っておられます。 ご自身は、大学の枠をはみ出し、デジタルと物理学を融合するメディアアーティストとして、いまや「現代の魔法使い」と称せられています。 落合氏の未踏に対する熱い思いは、後に続く若い未踏クリエータにダイレクトに伝わるものと思います。

 なお、村岡隆史理事は任期満了にあたり、ご本人から辞任したいとのお申し出がありました。 これまでのご支援に感謝しつつ、受理させていただきました。 それ以外の理事はすべて任期満了のあとも重任されることをご了承いただき、竹内が代表理事を続行することをお認めいただきました。
 これで、未踏社団は、業務執行理事4名(運営会議メンバーは久池井淳氏を含めて5名)、外部理事13名という体制になりました。 未踏社団が会員の皆様や応援していただける皆様のご期待に沿えるよう、さらに努力してまいります。

 また、新しく理事になられたお二方からメッセージを頂いております:

・田中理事: 産から官そして学へ異動した経験を活かし才能あふれる未踏の人達の活躍を支援し未踏のブランドを高めることに力を尽くしたいと思います。
・落合理事: 未踏のエコシステムを社会に普及させるべく全力を尽くしていきます。

■2 昨年度の決算を公開しました

 6月28日に行われた定時社員総会にて昨年度の決算が承認されました。 また、社団の経営状態をわかりやすくお伝えしようと考え、試みに税理士法人にお金の出入りを大きい順にまとめた資料も作って頂きました。あわせて公開します。

決算資料: http://www.mitou.org/assets/pdf/kessan2015.pdf
決算概要: http://www.mitou.org/assets/pdf/kessan_gaiyou2015.pdf

 さらにわかりやすくお伝えするために、有効数字2桁で概要を説明します。以下、単位はメガ円=100万円です。

 昨年度は80M円の収入、67M円の支出です。ただしこれは経産省の委託事業のウェイトがとても大きいです。 今年度以降の収入は法人会員費11M円の予定です。支出は活動内容の多寡によって9.5M~15M円の見積もりです。 安い方の見積もりなら黒字ではありますが、これは社団の存続だけを目標にしたケースであり、社団の存在意義を果たせません。 高い方の見積もりでは年間-4M円の赤字で、社団の現在のキャッシュが17M円なので、4年後に資金枯渇するペースです。

■3 一部の出資者に基金の返還を行いました

 6月28日に行われた定時社員総会にて基金の返還決議が行われました。これは3名と1社の出資者から基金の返還請求が行われたことによるものです。
 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」によれば、資本金の返還には、貸借対照表上の純資産額が基金の総額を超えること、定時社員総会の決議、同額の代替基金を計上して基金の総額が減少しないようにすること、の3点が必要です。 今回の決算にて条件が満たされたことが確認されたため、適法な手続きにのっとって返還を行ないました。返還額は以下の通りです。

 ルナスケイプ㈱ 3,100,000円
 近藤 秀和   1,000,000円
 中嶋 淳      500,000円
 市川 和美     250,000円
   計     4,850,000円

■4 アクセンチュアとの協業について

 未踏社団とアクセンチュアは、未踏人材と技術やアイデアを必要とする企業・自治体などとの連携を促進することで、協力していくことを発表しました。 またアクセンチュアはその支援拠点「アクセンチュア・デジタル・ハブ」を、東京都港区赤坂に新設したことを発表しました。
 アクセンチュア・デジタル・ハブでのプレスリリースに参加された落合陽一理事は「ニワトリと卵を同時供給するのは重要」という表現で、 技術の専門家と事業化の専門家が一か所に集まる場の貴重さを指摘、「起業とベンチャー投資」というスキームにこだわらない、新しいアイデア事業化のスキームに期待を表明しました。

未踏社団とアクセンチュア、オープンイノベーション促進で協業|ニュースリリース
https://www.accenture.com/jp-ja/company-news-releases-20160712-2
デジタル変革の支援拠点「アクセンチュア・デジタル・ハブ」を新設|ニュースリリース
https://www.accenture.com/jp-ja/company-news-releases-20160712
落合理事のTweet
https://twitter.com/ochyai/status/753387832173998080
オープンイノベーション拠点を新設するアクセンチュアの狙い - ZDNet Japan
http://japan.zdnet.com/article/35085772/

■5 未踏研究会#3を開催しました

 今回で第三回となる未踏研究会を開催しました。会場は未踏社団の法人会員でもある富士通株式会社のTechShop Tokyoをお借りしました。 また今回初の試みとして未踏関係者の紹介があれば未踏関係者以外でも参加可能としました。

 オープニングトークで代表理事である竹内郁雄は「この研究会では未踏ならではの研究や交流をどんどん図っていきたい。 OBになってもがむしゃらに突き進んでほしい」と、未踏研究会に対する期待を語りました。

 続いて、荒川淳平より未踏社団や未踏研究会の運営組織の体制やプログラム、位置付けや狙いなどについて説明を行いました。 すでに1400名を超える未踏出身者は、大学や研究機関、大企業、ベンチャー企業で活躍しています。 ぜひこの未踏研究会を通じて、多様性のある研究活動を行い、その活動成果を社会に還元していきたいと述べました。



 今回の研究会では、以下の6組の研究会やワーキンググループから発表がありました。

○IoT研究会
 上田 真史:「未踏IoT開発合宿 第1回実施報告」

 6月3日~7日に実施されたIoT開発合宿についての報告。参加者は未踏OB12名。 会場には、はんだごてコーナーや、センサーやモジュールなどの「置き部品」を用意。 それらを使ったハードウェア講習では、基本的な用語解説などは省いた最低限の講習だけ行い、あとは各自に任せる最適化スタイルで行ったところ、みんな高速に習得していたそうです。 参加者からは大変好評で、次回は9月第2週を予定しているそうです。



○Medical Crisis研究会
 奥村 貴史: 「未踏と医療が出会った後」

 昨今の救急医療では、道路で救急車を「避けてくれない」問題、病院が受け入れしてくれない「たらいまわし」問題、救急車をタクシー代わりに使う「タクシー化」問題があるといいます。 これらを情報技術によって解決できないか──。 奥村氏は高度情報系人材と医療現場を繋ぐ触媒となるべく、Medical Crisis研究会をもっと活性化させ、将来的には「未踏Med」を実現していきたい、と熱く語りました。



○機械学習ビジネス研究会
 中山 心太:「機械学習ビジネス研究会 開催のお知らせ」

 データサイエンティストに求められるスキルセットは「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」。 ほとんどの機械学習勉強会では、そのうちのデータサイエンスとデータエンジニアリングに注力して行われているが、中山氏はあえてビジネスにおける機械学習にフォーカスした研究を行っていきたいと宣言。 日本語で書かれた書籍の事例をもとに、巻末の索引から原点を探して違いを探し、理解を深め、解説していこうという研究会について、今後の活動計画を発表しました。



○未踏ジュニア実行委員会
 鈴木 遼:「未踏ジュニア活動開始のご報告」

 未踏研究会#1でアイデアが生まれた17歳以下の小中高生・高専生対象の「ミニ未踏」プロジェクト。 見事4組が採択され、可能な範囲での人脈・ハードウェア、ソフトウェア・技術サポートなどで支援している。9月をめどに最終成果報告会を行う予定とのことです。



○プログラミング教育ワーキンググループ
 鈴木 遼:「プログラミングのための環境とプログラミング言語のユーザビリティに関する最近の動向」

 海外で話題になっている「CHI 2016 Usability of Programming Languagesグループ」、国内では「SIGPX」、未踏観点では「HackforPlay」や「Siv3D」などの動向を紹介。 早稲田情報科学ジュニア・アカデミー受講生でスペルミスでコンパイルエラーになった中学生の「なんで英語じゃないとダメなの」の言葉から、翻訳機能や言語非依存のプログラミングツールが作ることで言語の壁をなくせないかなど、現状のプログラミング教育の課題について語りました。



○プログラミング教育ワーキンググループ
 安川 要平:「プログラミング教材の翻訳を自動化したい」

 Railsチュートリアル&Railsガイドの共同発起人である安川氏。 翻訳された技術文書を常に最新に保つ自動化に取り組んだ背景や、システム概要について発表を行いました。 ゼロから翻訳するツールや訳文を再利用する技術、更新を自動検知・PRするAPIの活用を解説。 さらに継続的に翻訳物を作って配信するために、ビジネス化への取り組みや未来に渡って自動翻訳される仕組みをテクニカルに説明しました。



○起業ワーキンググループ
 小池 宏幸:「1人ベンチャー起業家の憂鬱」

 自身のベンチャー起業の経験をありのままに語った小池氏。 2010年の未踏採択をきっかけに、6年前に音楽×ITベンチャーを起業。 コード開発はもちろん、デザインも営業も何でもやってきたといいます。 売上や調達額、自己資金額など生々しい数字も出しながら、話してくれました。 やりたいことができるし、意思決定ができて自由、とメリットを挙げつつも、味方がいない寂しさやモチベーション維持の難しさ、将来不安の辛さも赤裸々に吐露。 これから起業する人に対して、現実感あるアドバイスとメッセージを送りました。



○生産性向上ワーキンググループ
 西尾 泰和:「ネットワークを作ることでイノベーションを加速ってどういうこと?」

最後に登壇した西尾氏は、ネットワークを作ることで生産性を向上させることを啓蒙する活動について発表。 未踏OB/OGと交流の機会があるブースト会議を例に挙げ、活発な議論ができる小規模で密なコミュニティの有効性を説きました。 例として未踏同期、同じPM、同じ大学出身といった身近なコミュニティから、会社やワーキングスペースや技術コミュニティなどを挙げつつ、さらに境界をまたぎ、複数のコミュニティに属することでイノベーションを加速させようと訴えました。



質問や議論が積極的に交わされ、時間ぎりぎりまで盛り上がった未踏研究会#3。 終了後は会場を移して懇親会も行われました。 次回の開催も予定されていますので、ご興味を持った方は、ぜひご参加ください。 お待ちしております。

■6 500 Kobe Pre-Accelerator説明会を開催しました

 6月17日(金)に世界最大級のシード投資ファンドである500 Startupsが日本で初めて神戸市で開催するアクセラレーションプログラム「500 Kobe Pre-Accelerator」の説明会が実施されました。 場所は未踏社団の法人会員でもあるリクルートホールディングスが運営するオープンイノベーションスペース「TECH LAB PAAK」。 イベントは500 Startupsおよび神戸市の主催、TECH LAB PAAKと未踏社団の共催で行われました。

 説明会は500 StartupsのZafer Younis氏や今回のプログラムの舞台となる神戸市から参加された新産業グループ新産業創造担当課長の多名部 重則氏などがプログラムの内容や想いについて熱く語られ、会場からもプログラムへの参加を真剣に検討している参加者から踏み込んだ質問飛び交う、本気度の高いイベントとなりました。 説明会終了後の懇親会でもスタートアップを志す方やスタートアップ支援に携わっている行政や民間団体の方などが熱心に語らい交流する活気に溢れた会合となりました。

500 Kobe Pre-Accelerator
http://jp.500kobe.com/

■7 DojoCon Japan 2016開催のお知らせ

 日本で初めてのDojoConが8月に開催されます。DojoConとCoderDojoについて簡単に解説します。 CoderDojoは子供達にプログラミングを学ぶ場を提供するボランティア主導の世界的な非営利活動で、日本では36のDojoがあります。 しかし参加を希望する子供に対してDojoやボランティアが不足しており、西宮、梅田で開催しているDojoでは倍率が2倍以上になっています。 この状況を解決する為に、子供達へのプログラミング教育に関心のある人たちが集まり、ノウハウを共有するカンファレンスがDojoConです。

 今回、未踏OBで2003年本体のスーパークリエイターである阿部和広先生が基調講演であることから、未踏社団はシルバースポンサーとしてDojoConを応援することにしました。

詳細はこちらをご覧ください: http://dojocon.coderdojo.jp/

■8 機械学習ビジネス研究会開催のお知らせ

 社団未踏の研究会の一つである、機械学習ビジネス研究会が8/28に開催されます。

http://ml-business.connpass.com/event/36234/

 機械学習のビジネス利用の側面に目を向け、機械学習がどのように利用されているのかということに関して、学部の輪講程度のノリで、皆で紹介しあい、ディスカッションを行います。

 社団未踏の会員の方の参加を優先しますが、基本的には一般の方も参加できるイベントです。

■9 富士通アクセラレータプログラムのご紹介

 未踏社団では、創造的キャリア支援の一環として、様々な形での起業支援を提供させて頂いています。 今回は、未踏社団の法人会員でもある富士通様が提供される「富士通アクセラレータプログラム(FAP)」をご紹介させて頂きます。

 富士通アクセラレータプログラムは、革新的なベンチャー企業の技術・製品と富士通グループの製品・ソリューション・サービスを組合せ、オープンイノベーションで世の中へ新たな価値を提供することを目指して運営されているベンチャー支援プログラムです。

 過去にFAPに参加されたユカイ工学株式会社の代表取締役青木俊介氏からは「富士通アクセラレータプログラムに参加したことで、ベンチャー企業にはない多種多様な技術を活用する機会を得られ、ロボットに新たな機能が追加できました。 技術提供だけでなく製造面でのサポートもしていただけたことは、大きなメリットでした」というメッセージをいただいています。

 起業されている方など興味のある方は下記URLから詳細をご覧ください。
http://www.fujitsu-innovate.jp/

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 未踏社団は以下の法人会員の会員費で運営されています。

  富士通株式会社 株式会社リクルートホールディングス 株式会社プロコミット

発行元:一般社団法人未踏  http://www.mitou.org/
今回の担当:事務局・西尾